涙道疾患を説明します。
涙道とは
涙の通り道のことをいいます。
涙道閉塞とは、涙の通り道が詰まってしまったり、流れが悪くなっている状態で、
涙目が続いてしまったり、膿がたまって腫れることもあります。

❍ 先天性鼻涙管閉塞
先天性涙道閉塞は自然軽快傾向のある疾患です。
様々な報告があり、治療時期や方法がは定まっていません。
全身麻酔のリスクやブジーのリスク、本人の症状により治療方法や時期は変えます。
専門医の治療が望まれる疾患の一つです。
涙の通り道はまぶたの内側上下に1本づつあります。涙嚢という袋に入り、骨を貫通する鼻涙管を通り鼻腔(鼻の空間)に排出し、最終的に胃に落ちます。
鼻側の出口に閉塞が起こっているのが先天性鼻涙管閉塞の主な原因です。
他の部分も閉塞が起こっている場合もあります。
月齢、年齢、症状の強さや頻度で対応が変わります。

❍ 涙のう炎
涙道閉塞が重症化すると涙嚢の中に菌が増殖します。
手術で菌石と言う菌の塊を除去します。
病理検査で菌の集塊を確認しました。



❍ 涙小管断裂
外傷で左眼、下方の涙点が断裂し流涙を主訴に紹介されました。
手術で涙小管を縫合し、涙管チューブを挿入しています。
半年かかりましたが流涙はなく何かあったら来ますと終診になりました。


❍ TS−1関連流涙症


涙をグリーンに染め、涙のたまり具合を見ています。
多いほど涙目を自覚します。
抗がん剤による流涙症はもはや一般的になりつつあります。その中でもTS-1は流涙症の訴えが多い薬剤です。
抗癌剤による粘膜障害が細い管腔構造をつまらせることが原因と言われています。
早急に涙管チューブなどで治療を開始します。


当院でよく行われる手術について
涙管チューブ挿入術について
・手術は局所麻酔で、日帰り手術で行います。
・両目同時に行うことも可能です。
・手術時間は15~20分前後です。(閉塞の程度によりお時間がかかることもあります。)
・手術当日は15分程度経過を確認させていただき、お帰りいただけます。
眼帯はつけずにお帰りいただけます。
・手術後は、安全のため、麻酔の効果が切れるまで運転はお控えください。
局所麻酔の影響で、3~4時間程度、顔がしびれたような感覚や物がぼやけたり二重に見えることがあります。
・手術後涙管洗浄の経過観察が必要です。
手術後約2週間後に通院し涙道洗浄を行い、その後2週間~1か月毎に通院し涙道洗浄を行います。
・涙管チューブは約3ヶ月間程度留置します。(経過により個人差があります)
・手術当日から洗顔できます。
・手術後、特に日常生活に制限はありませんが、眼を開けたまま強くこすることは控えてください。
涙嚢鼻腔吻合術(DCR)について
・涙嚢と鼻腔の間にある薄い骨の一部を削り取り、新たなバイパスを作る手術です。
・手術は局所麻酔で、日帰り手術で行います。
・手術時間は60分前後、手術日は火曜日午後・木曜日午後です。
・手術当日は15~30分程度経過を確認させていただき、問題なければお帰りいただけます。
眼帯をつけてお帰りいただき、眼帯は翌日の診察時に外します。
当日はできるだけ安静にお過ごしください。
・手術後は、局所麻酔の影響で、3~4時間程度、顔がしびれたような感覚や物がぼやけたり二重に見えることがあります。
・術後、涙や鼻水に少量の鼻出血が続くことがあります。
・術後の経過観察は、翌日診察に来ていただき、眼帯を外します。
抜糸は約1週間程度で来院していただきます。
